今の自分に最も刺さる小説

先程ちょうど読み終わったが、余韻がすごい。

ビジネス本以外で探していたところで見つけたこの本。まず気になったのは「レンタル家族」というワードだ。授業で資本主義と道徳について議論しているが、レンタル家族とはまさに家族という目に見えない金で換算できない関係性に、資本主義を持ち込もうとしているように思えて気になっていた。

本の構成はレンタル家族についての短編「レンタル世界」と表題の「ままならないから私とあなた」の2つからなっている。この二つは以外と共通する部分があり、読んでいるときは実は最後で二つの話が繋がるのではと思ってしまった。

 

「レンタル世界」はレンタル家族というサービスに反対をしていた僕にぐさりと刺さる話である。レンタルサービスは表面的な関係性であり、その場しのぎのものである。まさにそう思っていたが、その場しのぎでも他に何かを大切に守りたいものがあると考えると、このサービスに対する印象も変わってくる。

終盤にかけて怒涛のスピード感で展開するストーリーもとても魅力的で、朝井さんの執筆力を感じた。短編ですぐに読めてしまうが充実感はあり、これだけのために本を買うのもおすすめである。

f05061a65c23024173ad5b73742554a5_t.jpeg

 

「ままならないから私とあなた」も、自分と他者の価値観の違いをやっと認識し始めていた私には、とても刺さった。前回の「答えがな事の方が多いのでは…」にも書いたが、考える議題に対して常に答えを追求し続けてきた自分を、本の中の薫と重ね合わせてしまう部分があった。薫ほど天才的ではないが、恋愛でも効率を重視するし、人生をなるべくならコントロールしようと思ってしまう部分があった。それに関して間違いではないが、自分が考え直すべき点をいくつか指摘されたような気持ちになった。

自分と他者を比べる中で、「人と機械」「自分らしさ」というのがテーマになっている。技術が進歩する中で、人が介入する部分がどんどん減ってきている。しかし、これまでに人がやっていたからこその、人同士の出会いがあったり、行為に人の愛情が湧いたりしていたものがあったはず。自分らしさも誰かと比べた結果、人と違う部分であったり、突出している部分のことを示していて相対的なものである。自分の周りって自分よりも優れている人が目につき、自分の劣っている点ばかりが目につき、自分らしい部分が見えづらくなる。でもそういう風に悩めるところが人と機械の違いなのかも。

加えて、最近ではAVもインターネットで簡単に見れるようになって性に対する意識が自分の中でも軽くなっていたが、本の中で活字で性行為の描写を読むと、何か自分が忘れていた男女の間の見えない関係性を改めて認識させられたし、恋愛観にも影響を及ぼす気がした。朝井さんが本の中で、「家族に性別や人数の制限がなくなっていったのだ。」と書いているのも、自分が何となく予想するこれからの世の中のような気がしていて、より本にのめり込んだ。

最後の小出祐介さんの解説も良かった。文の最後で「ままならないから」というワードをきっちりと埋め込むところが素晴らしかった。

gahag-003726

 

何度もいうようだが、この本は今の自分にとても響く一冊であった。普段何となく思うことを物語として読むと、より自分の考えを明確化してくれるし、違った見方を与えてくれる。本当にこのタイミングで読んで良かった。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中